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2006年7月18日 (火)

【BOOK】ワイルド・スワン

Book_21私の本の好みは両親の血を受け継いでいると思う。
両親が読んでいる本に間違いはない!面白いはず!という確信があります。
今回読んだ『ワイルド・スワン』も実家から借りてきたもの。
決して「面白い」類の話ではないけど、近・現代中国のノンフィクション歴史大作です。
中国人女性である著者と、その母、祖母が経験した日本の侵略から国民党・共産党の内戦、中華人民共和国の成立、文化大革命に至るまでを描いた三代記です。
予備知識が全く無かったから最初はちょっと取っ付きにくかったけど、未知の世界と文章のリアリティにぐいぐい引き込まれてしまいました。

中学・高校時代にちょっとは勉強したはずの中国近代史ですが、歴史が嫌いだった私にはさっぱり・・・覚えていたのは毛沢東の名前くらい。
文化大革命は山崎豊子さんの『大地の子』に出てきたけど、当時は全然理解できていなかったということが、この本を読んでわかりました。

とにかく衝撃的・・・としか言いようがない。
私の常識にはない世界です。
文化大革命によって毛沢東思想に煽動された暴力的な大衆が、事業家などの資本家層、医者、教師などの有識者を弾圧、迫害していく。
共産党の高級幹部までも弾圧の対象となり、個人的な思想を持つことや自分の意見を述べることすら許されない。
子どものときから資本主義を憎み、毛沢東を崇めるよう育てられた若者たち。
人間をひとつの思想で縛ろうとするってすごく恐い。
それが1970年代前半まで続いていたというんだから、これにもまたびっくりです。
私が生まれるほんの少し前まで、隣の国でそんなことが起こっていたなんて。
でも、第二次世界大戦頃の日本も、これと近い状態にあったというから、今があるのが不思議です。
歴史って自分の遠いところにあると思い込んでいたけど、意外に近いところで起こっていたことにショックを受けました。

現代の日本で生まれ育った私は、自分の思想を持って自由に生きている。
そのことに疑問を抱いたことなんてなかったけど、自由な思想を持てるって本当はとても幸せなことなんだと気づかされました。
思想や人格、生き方・・・人間の多様性があってこそ、人間らしく生きられる今の社会が出来上がっていると思うと、とても感慨深い。

『ワイルド・スワン』の著者ユン・チアンさんは、文化大革命の最中、思想もなにもかも抑圧された社会で、自分の考えを持ち続けた勇気ある女性です。
ほとんどの中国国民が何が起こっているのかすら知り得なかった中で、とても聡明で勇気ある行動をした彼女に、敬意を抱かずにはいられません。

実家から借りてきた本を読み終えると、母と本について話し合うのが好きです。
今度実家に帰ったら、『ワイルド・スワン』についてたっぷり話し合わないと。

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